ケアマネの担当件数とは?上限や居宅と施設の利用者数や仕事内容について
ケアマネ(ケアマネージャー)は高齢化が進む日本において重要な役割を担う職業の一つです。
しかしその業務内容や担当件数など、詳しい内容について知っている方は少ないでしょう。
そこで、ここではケアマネージャーの担当件数や仕事内容について紹介します。
ケアマネージャーという仕事に興味がある方、ケアマネージャーを目指している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ケアマネ(ケアマネージャー)とは
ケアマネとは、ケアマネージャー、介護支援専門員とも呼ばれる介護の専門職です。
介護サービスが必要な人に対して適切な支援ができるようにサポートします。
主な仕事内容は相談、ケアプラン作成、介護施設と利用者の調整業務、給与管理など多岐に渡ります。
ケアマネになるためには
ケアマネになるためには介護・医療・福祉分野での一定期間の実務経験の後に、介護支援専門員試験に合格する必要があります。
ケアマネの担当件数とは
ケアマネの担当件数とは、ケアマネ一人当たりが担当する人数のことです。
ケアマネの担当件数の計算方法は?
ここではケアマネの担当件数の計算方法を紹介します。
要介護者 | 一人を1件とする |
要支援者 | 一人を0.33件とする(3人が1人分) |
例)要介護者10人、要支援者12人を担当する場合
10(要介護者)+4(要支援者)=14件
ケアマネの仕事内容は大きく分けると2つ
ケアマネの仕事内容は「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」の2つに分けることができますが、これら2つの働き方によって仕事内容、担当件数の上限などが大きく異なります。
以下で居宅ケアマネと施設ケアマネについて詳しく解説します。
居宅ケアマネについて
居宅ケアマネとは、居宅介護支援事業所で働くケアマネのことです。
居宅介護支援事業所とは、自宅で過ごしている要介護者にとって必要なケアプランを作成して、ケアプランの内容に沿った施設を紹介する施設です。
つまり、自宅で過ごしている要介護者と介護サービスを提供する施設の間を取り持ち、調整する役目を請け負っています。
仕事内容
- 要介護者との面談をする
- 担当者会議に出席する
- 自宅で過ごしている要介護者のケアプランを作成する
- 自宅で過ごす要介護者と介護施設・役所・病院・地域包括センターとの間を取り持つ
- 自宅で過ごしている要介護者に介護施設を紹介する
など、このように居宅ケアマネは介護の実務というよりも、事務仕事や要介護者と施設をつなぐための仕事が中心となります。
訪問介護とはどう違うの?
訪問介護と居宅介護支援はよく混同して考えられますが、正確には異なる仕事です。
訪問介護が自宅で過ごす要介護者を直接介護する仕事なのに対し、居宅介護支援は自宅で過ごす要介護者と訪問介護サービスを行う施設との間を取り持つ仕事です。
担当件数の上限
居宅ケアマネ一人当たりの担当件数の上限は44件です。
しかし、施設によってはこの人数よりも多い人数を担当することもあり、上限を超える件数を担当することを禁止されているわけではありません。
担当人数が45人と超えると逓減制(ていげんせい)の対象になる
居宅ケアマネ一人当たりの担当人数が45人を超えると逓減制という制度の対象となり、基本報酬が下がってしまいます。
しかし、2024年に介護報酬が改定され、「ICT*を活用している事業所」「事務職員を配置している事業所」の場合は、ケアマネ一人当たりの担当件数が49人までは逓減制の対象とならないということになりました。
ICTを活用している事業所とは
ICTを活用している事業所とは、情報技術を取り入れて業務改善を行っている事業所のことです。
ICTを活用することによって業務が効率化するため、最近は多くの事業所がICTを導入しています。
<介護におけるICT活用例>
- チャットアプリ導入:利用者と事業者の情報共有が可能
- タブレット導入:訪問記録・音声記録をタブレットで管理
- スマートフォン導入:利用者と事業者との情報共有、訪問記録などが可能
- シフト管理ツール導入:従業員のシフト管理が可能
- AIソフト導入:ケアプラン作成の簡素化が可能
など、ICT導入によって業務が効率化し、情報共有の簡素化が可能になります。
しかし、従業員が新しい機器を使いこなすのが難しい、どこまでICT管理すべきかなどについて問題視している施設も少なくありません。
事務職員を配置している事業所とは
介護施設に事務職員を配置することによってもケアマネ一人当たりの担当件数を増やすことが可能です。
<事務員配置の条件>
- ケアマネが行う事務作業の軽減や効率化に勤める
- 常勤・非常勤どちらも可能
- ケアマネ一人につき1か月で24時間以上勤務する
など、ケアマネの人員不足の場合は、ケアマネ一人当たりの担当件数上限を増やすために事務職員を配置するという方法もあります。
担当人数の平均
居宅ケアマネの担当人数の平均は31人~32人ですが、地域によって異なります。
居宅介護支援事業所の利用者人数が平均で95人程度なので、一つの施設に対して複数人のケアマネが在籍していることが多いことが分かります。
施設ケアマネについて
施設ケアマネとは、介護施設で働くケアマネのことです。
主に特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームなどの施設で働きます。
仕事内容
施設ケアマネの主な仕事内容は、施設で生活する方のケアプランを作成することです。
入居者の健康状態やご家族の意向などを踏まえてリハビリや食事、生活面のケアプランを個別に作成していきます。
ただし、施設ケアマネは働く施設によって仕事内容が異なります。
小さな施設の場合は、身体介護や夜勤などの実務や生活相談*も行うことも多いです。
*生活相談…利用者やその家族の要望を聞くこと
担当件数の上限
施設ケアマネの担当件数の上限は、一人当たり100人までです。
実際に施設に入居している方全員を担当しているケアマネも少なくありません。
担当件数の平均
施設ケアマネの担当件数の平均は41人~50人です。
大規模な介護施設の場合は、複数人ケアマネが在籍していることも少なくありません。
居宅ケアマネと施設ケアマネは働き方が異なる
居宅ケアマネと施設ケアマネは同じケアマネでも働き方が異なります。
ここでは居宅ケアマネと施設ケアマネの働き方の違いを簡単に解説していきます。
居宅ケアマネ | 施設ケアマネ |
特定の施設に常駐しない
要介護者の自宅を訪問する |
働く施設によって働き方が異なる
生活相談員として働くこともある 介護職員として実務を行うこともある マネジメント業務を行う |
居宅ケアマネは特定の施設に常駐せずに、要介護者と施設や地域、病院などをつなぐ役割を担っています。
そのため、施設や病院、利用者の自宅への訪問が多いです。
施設ケアマネは、特定の施設に常駐することが多いため、働き先の施設によって仕事内容が異なります。
居宅ケアマネに比べて実務が多い可能性が高いです。
ケアマネとして働きたい場合は、どのような働き方をしたいかを考えてから就職先を決めるようにしましょう。
ケアマネの一人当たりの担当件数が増える理由
ケアマネは一人当たりの担当件数に上限がありますが、施設によっては担当件数を超えてしまうことがあります。
ここでは、ケアマネ一人当たりの担当人数が増えてしまう理由を解説します。
高齢者が増えている
日本では高齢化が進み、高齢者の数が年々増えてきています。
高齢者が増えるということは要介護者が増えるということを意味するため、当然ケアマネが担当する件数も増えるということです。
実際に、要介護だと認定された方は2000年度には218万人でしたが、2022年度には691万人となっています。
ケアマネの数が足りない
現在ケアマネの人員不足が問題となっています。
ケアマネだけでなく介護業界は全体的に職員が不足していますが、特にケアマネが少ないと言われています。
そのため、ケアマネ一人当たりの担当件数がどうしても増えてしまう施設が多いようです。
<ケアマネの数が足りない理由>
- 受験資格が厳しくなり国家試験受験者が減少してきている
- 新型コロナウイルス蔓延によって自宅で過ごす要介護者が増えた
- まだまだ待遇が改善されない施設も多い
ケアマネの担当件数が上限を超えないための予防策
ケアマネ一人当たりの担当件数が上限を超えると基本報酬が下がるため、多くの施設は上限を超えたくないと考えています。
そこで、ここではケアマネ一人当たりの担当件数が上限を終えないための予防策を紹介します。
ICTを活用する
上でも解説しましたが、ICTを導入することによってケアマネの担当件数の上限を49人までに増やすことができます。
ICT活用のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
作業効率が上がる
アセスメントの質が上がる 経費が削減できる データ喪失が防げる |
導入コストがかかる
使いこなすのが難しい |
事務職員を配置する
ICT導入以外にも事務職員を配置することによって、居宅ケアマネ一人当たりの担当件数の上限を49人までに増やすことができます。
ケアマネの増員が難しい場合は、新たに事務職員を配置してケアマネ一人当たりの担当件数上限を増やすのもおすすめです。
まとめ
ケアマネは大きく分けると居宅ケアマネと施設ケアマネの2つに分けることができます。
この2つは同じケアマネでも仕事内容や担当件数の上限などが異なります。
これからケアマネとして働きたい方は自分がどのような働き方をしたいのかについてしっかりと考えておきましょう。